家の匂いが健康を左右する。
新築の匂いは危険信号だった。
夢のマイホーム計画。住宅展示場を訪れ、素敵なデザインに胸を躍らせている頃かもしれません。しかし、モデルハウスのドアを開けた瞬間、「むわっとした独特の匂い」を感じて、「新築ってこんなものかな」と何気なく受け流してはいませんか?
実はその匂いこそ、これから何十年も続く家族の「心地よさ」や「健康」を左右する、とても重要なサインなのです。今回は、デザインや性能だけでは分からない「空気の質」という視点から、後悔しない家づくりの最初のステップをお伝えします。
1│新築の匂いの正体
新しい家のドアを開けた時、ツンとくるような化学的な匂い。敏感な方なら、少しいるだけで頭が痛くなることもあるかもしれません。
この匂いの正体は、主に建材から放出される化学物質(VOC)です。ビニールクロスや合板フローリング、それらに使われる接着剤など、現代の家づくりで一般的な「新建材」に含まれています。これらの化学物質が室内に充満したものが、いわゆる「新築の匂い」。シックハウス症候群の原因の一つとも言われ、決して「良い匂い」ではないのです。
2│匂いの違いは素材にあった
一方で、中には化学的な匂いが全くせず、森の中にいるような清々しい空気を感じる家もあります。その決定的な違いは、使われている「素材」にあります。
・匂う家【新建材が中心】│コストを抑え、施工しやすいビニールクロスや合板フローリングなどが多く使われます。これらは化学物質で加工されているため、どうしても特有の匂いが発生しやすくなります。
・匂わない家【自然素材が中心】│無垢の木や、漆喰・珪藻土の塗り壁などがふんだんに使われています。無垢材は心地よい木の香りを放ち、塗り壁はむしろ室内の嫌な匂いや湿気を吸着してくれる、いわば「天然の空気清浄機」です。
3│「気持ちいい空気」の科学
自然素材の家に住む人が口を揃えて言う「空気が気持ちいい」という感想。これは、単なるイメージではありません。
実際に空気の成分を測定すると、自然素材の家は新建材の家に比べて、化学物質(VOC)の数値が圧倒的に低いことが科学的にも証明されています。私たちの体が「気持ちいい」と感じるのには、ちゃんとした理由があるのです。目に見えない空気の質こそ、日々の暮らしの快適さを支える土台となります。
4│新建材が選ばれるウラ事情
「それなら、なぜ自然素材の家が当たり前じゃないの?」と不思議に思うかもしれません。これには、住宅業界の「コスト優先」という背景があります。自然素材は新建材に比べて材料費や施工に手間がかかるため、どうしても高価になりがちです。
そのため、多くの会社では予算内で性能やデザインを良く見せることが優先され、目に見えない空気の質は後回しにされてしまう傾向があるのです。しかし、家族と長い時間を過ごす場所だからこそ、本当に優先すべきものは何なのか、一度立ち止まって考えることが大切です。
5│家づくりは「五感」で選ぶ
これから家づくりを進めるなら、間取りやデザインと同じくらい、「空気の質」にこだわってみてください。本当に心地よい家は、カタログの数字だけでは分かりません。
モデルハウスや見学会に行ったら、まずは玄関で一度立ち止まり、深呼吸をしてみてください。
・ツンとくる化学的な匂いはしないか?
・木の香りがして、思わず深呼吸したくなるか?
・その空間にいて、心からリラックスできるか?
あなた自身の鼻や肌で感じる「心地よさ」を信じることが、後悔しない家づくりへの一番の近道です。まずは「匂い」を意識することから始めてみませんか。
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