心身を慈しむ住まいの温度。

暖かい住まいで冷え知らずに。

冬の厳しい寒さ。手足の先が氷のように冷たくなったり、腰回りがスースーしたり…そんな「冷え」に悩んでいませんか?

実は、成人女性の半数以上が悩んでいると言われる「冷え症」。単に不快なだけでなく、便秘や肩こり、不眠、さらには免疫力の低下にもつながる、健康の大敵です。風邪やインフルエンザが流行する季節だからこそ、体の内側から温める生活を心がけたいですよね。

食事や運動も大切ですが、見落としがちなのが「住まいの環境」です。この記事では、住まいと冷え症の深い関係を解き明かし、冷え知らずの健康生活を手に入れるためのヒントをご紹介します。

 

1|その冷え、家のせいかも?

冷え症の主な原因は、血行不良や自律神経・ホルモンバランスの乱れとされています。しかし、いくら体を温める食事や運動を心がけても、暮らしている家そのものが寒ければ、根本的な解決は難しいかもしれません。

寒い家に住んでいると、私たちの体には次のような影響があります。

血行不良の悪化

低い室温にいると、体は熱を逃がさないように血管を収縮させます。特に手足の末端は血が巡りにくくなり、冷えを強く感じます。また、リビングは暖かいのに廊下やトイレは極寒…といった家の中の急激な温度差は、血管に大きな負担をかけ、血行をさらに悪化させます。

自律神経の乱れ

私たちの体は、自律神経が働くことで体温を一定に保っています。しかし、常に寒さのストレスにさらされていると自律神経が乱れ、体温調節機能がうまく働かなくなってしまいます。

気づかぬうちに体力を消耗

寒い環境では、体は常に熱を生み出そうとエネルギーを使い続けます。これが知らず知らずのうちに体力を奪い、疲労や免疫力低下の原因となるのです。

つまり、住まいの寒さは、冷え症の根本原因を助長する大きな要因なのです。

 

2|暖かい家を作る3つの条件

それでは、一年を通して快適で、体を冷やさない「暖かい住まい」とは、どのような家なのでしょうか。ポイントは「断熱」「気密」「換気」の3つです。

【断熱】外の寒さをシャットアウト

断熱とは、壁や屋根、窓などを通して外の寒さが室内に伝わるのを防ぐ性能のことです。性能の高い断熱材を使ったり、熱が逃げやすい窓を複層ガラスにしたりすることで、魔法瓶のように家全体を快適な温度に保ちやすくなります。

【気密】すきま風をなくし熱を逃がさない

気密とは、家のすき間をなくし、空気の出入りを減らす性能のことです。いくら断熱性能が高くても、すき間だらけの家では暖かい空気がどんどん外へ逃げてしまいます。気密性を高めることで、暖房効率が格段にアップします。

【換気】キレイな空気で快適な湿度を保つ

断熱・気密とセットで重要なのが換気です。高気密な家では空気がこもりやすいため、計画的に空気を入れ替える換気システムが必要になります。これにより、結露やカビの原因となる余分な湿気を排出し、快適な湿度(40~60%)を保つことができます。

この3つの性能がバランス良く備わって初めて、省エネで健康的な「暖かい住まい」が実現します。

 

3|暖かい家の驚くべき健康効果

断熱・気密性能を向上させた暖かい家に住むことは、冷え症改善だけでなく、さまざまな健康上のメリットがあることが分かっています。

近畿大学建築学部の岩前篤教授が行った調査では、住宅の断熱性を高めると、住人の健康状態が大きく改善したという結果が報告されています。特に、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、そして手足の冷えといった症状に改善が見られました。

これは、室内の温度が一年を通して安定することで、体が不要なエネルギーを使わなくなり、免疫機能が正常に働きやすくなるためと考えられます。「温度のバリアフリー」は、すべての人にとって健康住宅の絶対条件と言えるでしょう。

4|今日からできる寒さ対策

「リフォームや新築はまだ先…」という方でも、今すぐできる寒さ対策はたくさんあります。ご自宅の状況に合わせて、できることから始めてみましょう。

窓の対策

家の中で最も熱が逃げやすいのは窓です。厚手のカーテンに替えたり、市販の断熱シートを貼ったりするだけでも効果があります。

床の対策

足元からの冷気は、体感温度を大きく下げます。断熱効果のあるアルミシートの上にカーペットやラグを敷くと、底冷えが和らぎます。

湿度管理

同じ室温でも、湿度が高い方が暖かく感じられます。湿度計を設置し、40~60%を目安に加湿器などで調整しましょう。

これらの工夫を重ねることで、今よりもずっと快適な冬を過ごせるはずです。

 

5|健康は住まいから

冷え症は、つらく不快なだけでなく、様々な体の不調を引き起こすサインです。その原因の一つが、毎日多くの時間を過ごす「住まいの寒さ」にあるかもしれません。

住まいは薬ではありませんが、不快な温度差やカビ・ダニといった体へのストレスを減らすことは、間違いなく健康につながります。

健康とは、「人・建物・食物」のバランスが取れた状態です。この機会に「建物」、つまり住まいの環境を見直してみませんか?暖かい住まいで体の芯から温まり、快適で健康な毎日を送りましょう。

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