気配が薫る、美しい住まい。
家族がつながる、心地いい家。
おうちづくり、楽しんでいますか?
間取り図を眺めながら、「LDKは20帖ほしいな」「家事動線はスムーズにしたいな」と考える時間は、未来への希望に満ちていて、とても楽しいものですよね。
でも、もし「完璧なはずなのに、なぜか落ち着かない家」があるとしたら、その理由は何だと思いますか?
この記事でお伝えしたいのは、数字や間取り図だけでは測れない、暮らしの中の「本当の心地よさ」です。それは、家族が互いの温かい雰囲気、つまり「気配」を自然と感じられること。
計算された便利さだけでなく、家族みんなが心の底から「この家、大好き!」と思える。そんな家づくりのヒントをお届けします。
1│便利なのに、どこか落ち着かない?
「家事の動きはスムーズ。収納もたっぷり。デザインもおしゃれ。なのに、なぜか心が休まらない…」
もしそう感じることがあるなら、それは便利さや効率を考える一方で、家族がホッとできる「心のつながり」を少しだけ見落としてしまったからかもしれません。
家は、家事をこなすだけの空間ではなく、家族が「ただいま」と帰ってきたときに、心から安心してくつろげる場所。効率だけを考えすぎると、お互いの存在を感じにくい、どこか物足りない空間になってしまうことがあるのです。
2│幸せは「隅っこ」から生まれる
暮らしを本当に豊かにしてくれるのは、広々とした主役の部屋より、ふとした瞬間に腰を下ろしたくなる、ちょっとした「隅っこ」だったりします。
例えば、こんな場所を想像してみてください。
・料理をしながら、宿題をする子どもの様子が見えるキッチンのカウンター
・庭の緑や空の色を眺められる、階段の途中にある窓辺のベンチ
・リビングの片隅にある、本に囲まれた一人掛けのソファ(ヌック)
一人でいても、どこかで家族の笑い声や生活音が聞こえてくる。そんな「一人だけど、独りじゃない」と感じられる居心地のいい「隅っこ」が家の中に点在していると、空間全体が温かい雰囲気に包まれていきます。
3│家族の「宝の地図」を描こう
あなたの家族にとっての「宝物のような居場所」は、どんな場所でしょうか?それを見つけるために、暮らしの中に隠れたヒントを探す「宝探し」をしてみませんか?
ぜひ、ご家族でこんな話をしてみてください。
・「休日の朝、何をしている時が一番リラックスできるかな?」
・「いつも行くカフェで、なぜか落ち着くのはどの席だろう?」
・「お子さんが最近、家の中で一番楽しそうに遊んでいるのはどこ?」
こうした何気ない会話の中に、家族一人ひとりが心地いいと感じる「距離感」や「好きなこと」が隠されています。それが、どんな立派な間取り図よりも、みなさんの家づくりを助けてくれる最高の「宝の地図」になるのです。
4│設計士だからできること
これからの時代、AIなどが便利な間取りを提案してくれるようになるかもしれません。でも、人にしかできない大切な役割があります。それは、みなさん家族の何気ない習慣や、言葉にならない想いをくみ取り、未来の暮らしを想像することです。
・「ご主人は帰宅後、玄関の椅子で一息つく時間を大切にしそうですね」
・「この壁の小さなくぼみは、きっとお子さんだけの秘密基地になりますよ」
便利な間取りを考えるのは得意でも、家族の物語を想像し、対話の中から「愛着」を育んでいくのは、経験豊かな設計士の仕事です。
最高の家づくりは、信頼できるパートナー探しから始まります。打ち合わせの際に、こんな質問を投げかけてみてください。
・「私たちの暮らしを見て、一番大切にすべきことは何だと思いますか?」
・「私たちの希望の他に、もっと毎日が楽しくなるようなアイデアはありますか?」
その答えに、設計士が大切にしている家づくりへの想いや、人柄がきっと表れるはずです。
5│さあ、家族の物語を始めよう
家は、これから何十年と続く、家族の物語の「舞台」です。
子どもが成長し、家族の形が変わっても、「やっぱりこの家が一番だね」と心から思える。そんな家には、広さや便利さといった数字だけでは測れない、大切な何かがあるのかもしれません。
それは、家族が互いの温かい「気配」を感じられる、心地いい距離感から生まれるのです。
常識や効率も考えながら、それ以上に「あなたの家族だけの心地よさ」を大切にしてみてください。
図面を広げる前に、まずは家族の笑顔を思い浮かべること。
最高の家づくりは、そこから始まります。
0コメント